オパールという石をご存知の方は多いと思いますが、比較的この石は
地味な石というイメージも強い。
かくいう私もオパールといえば「おばあちゃんの形見」みたいだなと
思っており、全く興味がありませんでした。
私とオパールの出会い
インド人宝石商に「オパールのいいのが入ってる」と毎度勧められていた時期が
あるのですが、「オパール嫌い」といってスルーしていたのが2019年〜2020年頃
だったと記憶しています。
彼は不服そうだったけれど決して私にゴリ押しすることもなく「そうか・・・」と
残念そうに引っ込めていました。
そんなある日、店頭で「ねえ、なにこのキラキラした石?」と聞くと「OPAL」という
返事が返ってきた。
嘘でしょ??これがオパール??
私が思っていたのと全然違う!というかなり衝撃的な出会いでした。
「だから言ったのに・・・」と彼は口を尖らせていましたが聞いちゃいない。
「キレイキレイ!!すご〜〜い!!」と言ってその後はオパールに夢中。
ただただその遊色に心を奪われ、どれだけでも見ていられました。
豪快仕入れ
この石からです。私が豪快にごそ〜〜っと仕入れるようになったのは・・・・。
実際にはこれの数倍買っていますが(笑)。
前の記事でこちらの記事で仕入れの仕方についてご紹介しています。
https://tosui2021.com/高野睦子のお見立てについて/
この仕入れ方法は大量の石からいいものだけをピックアップするという
やり方なんですが、オパールに関していうと選別できないほどどれも
うつくしかったのです。
一つも手放せない、脱落しない。個性はあって千差万別であるからこそ
他の石のように選ぶのはとても難しかったですね。
そしてもう一つの理由は「他の業者に渡したくない」という気持ちも
出てきてしまったり、さらに全部まとめて買ったら選別して数粒買うよりも
ひとつあたりの単価が下がるというメリットもありました。
故に「これ全部!」という買い方をしたのはオパールが初めてです。
オパールの処方箋
以後、大量のオパールを持って各地を巡ったのですが、もちろん他の石も持っていきました。
けれど2020〜2022年頃まで、オパールの需要は非常に高かったですね。
これは私がたくさん持っていたから、というよりもお見立てによってオパールだなという方が
とても多かったのです。
不思議なことにコロナが収束したと同時に色石のお見立てがグッと増えました。
私なりにこれを分析してみたんですが、コロナ禍では皆さんが「これからどうなるんだろうか?」という
不安を抱えていたと思います。
そして「どう生きたいか?」なんて考えることも難しかった時期だと思います。
制約も山ほどあったし、先が見えない。
そんな時期、くっきりと明確に「こうしたい・こうなりたい」がある方は少なかったと思うのです。
オパールというのは不思議な石で、全方位に「効く」と言いますか、その方が思いもよらない
ところに光を当て、テコ入れするような石だと思うのです。
例えば「お金がない」という悩みがあったとします。けれどお金を生み出すためにはさまざまな
原因を探って解決していく必要があります。
思い浮かぶこととしては年収がより高い会社に転職するとか、そのために資格を取ってみるとか、
副業するとか。または今の収入の中で節約するとか。
お金に関してはそんなことを考えるものですが、思いもよらないところを動かした結果、お金の回りも
よくなったなどということは起こりうるのです。
具体的には全然別角度で、自分自身の内側を見直して自分らしく制限を取り払って生きるようになったら
仕事が増えた結果、お金も入ってきたなんてことも考えられると思います。
オパールの問題解決というのはこの感覚に似ています。
自分で考えて行動する。
それは過去の経験値に拠ってする行動ですから自分の枠を出ないことも多いし、
パターンから抜け出せないということもあるでしょう。
しかし思ってもみないことが動き出すと、自分の思考では手を入れることができない部分が
刺激されて、結果的に長年悩んできたことがあっけなく解決した、なんていうことも起こりうる。
身体に例えてみたら、動かすことがなかなかできない内側の筋肉を筋トレでは育てられなかったけれど
呼吸法を変えたらそこが育った、とかそんな感じです。
360度の底上げ
そしてオパールという石をつけると「その人の輪郭がくっきりとしてくる」ということも
あると思っています。
これはあくまで私の感覚ですから正解・不正解などとはないのですが、身につける人の人物像が
オパールをつけてしばらくするとよりわかりやすくグッと前に出てくるような気がします。
実際、お見立てをして「明確な目的が定まったからもう一度石をお見立てして欲しい」とおっしゃる方は
オパールをひとつ目にお求めになられた方が一番多いのです。
ぼんやりとしていた未来のビジョンや、ご自身の心のあり様などが細かな描写で浮き彫りになってくる様な
感じなんじゃないかと思うんですね。
私はオパールを「360度、全方位で底上げしてくれる石」とお伝えしています。
特定した「ここ」ではなく、全体がグッと上がる。
それは例えるなら一階でものを見ていたのが五階から見るようになる様な変化です。景色も体感もまるで
違うでしょう。
ピンポイントで何かを後押しというよりも、全体の底上げが得意な石です。
ですからコロナ禍の暗中模索な時代、オパールの需要があれだけ高かったことにも
自分の中では腑に落ちるのです。
オパールセラー
そんなわけで山ほどオパールが旅立っていった時期はコロナ禍だったというお話。
私はおそらく2022年、日本で一番オパールを売った女だと思っています(笑)。
そしてだんだんと世の中が通常モードに戻ったあたりから色石の需要が突然伸びました。
オパールの様に全体で底上げより、「ここを梃入れしたい」「ここに注力したい」という
明確な意思でお見立てに来られる方が増えたからなんです。
けれど相変わらずオパールが必要なシーンもあります。
具体的に何がしたいか、どうなりたいか、どうありたいか。そんなことは全然わからない。
自分のことってちっともわからないわ。
そんな方には是非ともオパールの力を借りて欲しいなと思います。
そして自分のことをわかることも大切だけれど、自分を引きの目・俯瞰することはもっと
大切なことです。
オパールの視点は五階の視点。
きっと今まで見えなかったことが見えてきた時、新しい可能性に出会うのかもしれません。
Atsuko Takano