グリーンという色の意味
グリーンという色についてこれまでも結構書いてきているのですが、ここでまた改めて書いてみようと思います。
この色に関しては何度だって書きたい。そんな色がグリーンなのです。
グリーンと一言で言ってもたくさんのグラデーションがありますから、絶対こうだとは言えませんが概論です。
この色は「スペース」という意味があります。
スペースという言葉は空間的なことを想像しがちですが、それだけではありません。
心のゆとり、時間的ゆとり、人との距離感などもそこに含まれます。
ちょっと話がそれますが、肋骨の話をさせてください。
私たちは生活の中で肋骨一本一本の間が詰まってきがちです。
それにより可動域も狭くなり、くっついちゃっているから前に引っ張られ、背中が丸まり、首の後ろが分厚くなる、いわゆるおばさん体型になります。
でも肋骨の間にスペースが生まれると、体は適正に働き、動きやすくなり、結果的に体型も姿勢も美しくなる。
スペースという言葉はこれに似ていると思うのです。
スペースが取れたからこそ適正な場所で適正な働きができる。
それこそがこのグリーンという色のエネルギーの筆頭にあげたいことです。
距離感と孤独
距離感を人と取るというのはある意味、孤独と背中合わせです。
中高生女子のお付き合いのようにベッタリ。
そんな関係性は大人になるとなかなか難しい。
大人になると自我が出てきて「個」が確立するから、それぞれ違う他人と長時間一緒にいるとどちらかが譲るという図式が生まれてしまうのは自然なことでしょう。
これ。
最初はいいのだけれど徐々に「自分ばかりが我慢している」「あの人といると本来の自分を発揮できない」などという不満が現れてきます。
あとは、人って変化するしそのスピードも人それぞれですから、「あんなに仲良しだった人となんだか最近しっくりこない」というのもごく自然な流れではないかと思うんですね。
あんなに愛し合っていて片時も離れたくないと思っていた男女も、その「恋」の熱が冷めた途端、「亭主元気で留守がいい」状態になる(古いですね・・・)。
だからこそ人とのお付き合いの中でスペース=距離感を取るというのはとても大切になってきます。
かつて、実家とは「スープの冷めない距離」が理想的、なんてことが言われていました。
荘子は「君子の交わりは淡きこと水の如し」と言っています。
ニーチェはこんな言葉を残しています。
いかにも親密げな態度を示してくる。また、いろいろなことにかこつけて相手との親密さを得ようとしたり、必要以上の連絡をしょっちゅうしてくるような人は、相手の信頼を得ているかどうかにまったく自信がないことをあらわにしている。
すでに信頼し合っているのならば、親密な感じに頼らないものだ。他人からすれば、むしろそっけないつきあいのように見える場合が多い。
出典元:超訳 ニーチェの言葉
ニーチェはまたこんなことも言っています。
親しくなれば相手の私事に立ち入ってもかまわないと考えているような種類の人間とは、決してつきあわないことだ。そういう人は、家族のようなつきあいと称しながら、結局は相手を自分の支配下と影響下に置きたがっているだけなのだ。
友人関係の場合でも、互いを混同しないような気遣いと配慮はたいせつだ。そうしないと、友達でいることもできなくなる。
出典元:超訳 ニーチェの言葉
親しき中にも礼儀あり。これも誰もが知っていることわざですね。
このように人との距離感というのは古来からみんなが悩んで壁に当たってきたのだろうなと容易に想像がつくほどたくさんありますね。
人間というのは弱い生き物だから、誰かと共にいたい。
できれば全部理解して欲しい。賛同者が欲しいし肯定して欲しい。
愛する人とはいつだって一緒にいたい。そんな思いを抱くことだってあるのではないかと思います。
けれど、人は本当にそれぞれが全く別人格。育ってきた環境もDNAも習慣も癖も性格も全部違う。
そんな人間同士の距離が近くていいこと(近すぎるって意味です)ってそれほどないでしょう。大人になると一人で立つことを求められます。
一人で立っている大人が人と接するとき、その距離感は自然と保たれるような気がします。
一方で、一人で立てていない場合、そのバランスを崩しやすいものなのでしょう。だれかに寄って生きるのは一見楽かもしれませんが、おそらく距離が近すぎると揉め事が増える、いちいちイライラすることが増える。自分はイライラしなくても相手がしているかもしれません。
これはもう仕方がない。人間という生き物の性だから。
よほど相性がいい人とはその限りではないと思いますが、私の知る限りこれは本当にレアです。
やはり大人は「べったり」のお付き合いをすると事故が起きるなと常々思っています。さて、前置きがすっかり長くなりましたが、グリーンという色はそんな人との距離の取り方を教えてくれると私は思っています。
人との距離の取り方を教えてくれるということは、自立を教えてくれることでもあります。
一人でいる時間の充実度が、人との時間を美しいものにするのではないでしょうか。こうして書いてみて、そういえば若い頃グリーンを好きだと思ったことは一度もなかったことに気づきました。
好きとか嫌いとかではなく興味のない色だった気がしますが、宝石を扱うようになってからグリーンという色は大好きな色の一つとなりました。
ようやくご紹介します。
長らくお待たせいたしました。
グリーンの石一つ目はペリドットです。
このカット。
非常に珍しく魅力的だと思いませんか?
ちょうど昨日電車に乗ったとき、目の前の女性がペリドットのネックレスをしていました。
それが本当に美しく目が釘付けになってしまいました。
私はこういうときに宝石ってやっぱりすごいって思ってしまうのです。
その一粒で、たった一瞬でその人の纏うオーラは変わります。
とても失礼な話になりますが、そのペリドットがなかったらその方のことは目に留らなかったと思います。
オリーブグリーンのペリドットはヘルシーなエネルギーを持つ石です。
体の安定、精神の安定を促します。
そしてポジティブな波動を強烈に放つため、マイナス思考でクヨクヨ悩みがち・・・という方には非常におすすめの石です。
太くて上向き一直線の矢印を身につける、そんな雰囲気の石がペリドットという石ですが、このカットってとてもエレガントじゃないですか?
ヘルシー&エレガントってどこかの国の女王様みたいって思いました。キャサリン妃とかそんなイメージの石です。
美しくヘルシー。そしてエレガント。これって最高ですね。
そしてもう一つのグリーンの石はこちら。スフェーンです。
これまた同じグリーンといえどもペリドットとはかなり様相が違う石。
屈折率がかなり高いため、色とりどりの光を放ちます。
この石は、1787年にジュネーブ共和国の科学ジャーナリストで自然哲学者のマーク・オーガスト・ピクテによって発見されました。ピクテの誕生月は7月だったため、2021年に7月の誕生石に仲間入りしました
誕生石に仲間入りして一躍人気者となったスフェーン。
それまでは知名度もそれほど・・・でした。
産出量自体は少なくはないのですが宝石質となるとぐっと減ってしまうのです。
さらに宝石質だったとしても色が気に入らない・・・などという条件が重なり、なかなか満足のいくスフェーンを買うのは難しいんです。
で、今回もたくさん用意してもらっていたけれど仕入れたのはたったの一粒。
それ以外は色味が暗かったり、ファイア(虹色の光)が弱かったりとなんだか微妙だった中でこの石はピカイチでした。
スフェーンという石のエネルギー。
これ、書いたり言ったりするたびに胸がチクンと痛むんです。
決して悪口じゃなくむしろ褒めているつもりなんだけどこれ以上の言葉が今のところ見つからない。
この石は「変人のための石です」。もっというと「奇人変人のための石」。
褒めてます!でもそう聞こえないっていう方も多いと思います。
けれど変人=唯一無二、個性的、エッジが効いている、誰とも被らない・・・。そんな意味で使っています。
包含しています。
ただ、それが表に出ちゃってるという方にお勧めすることはあまりなく、「本来はそうだったんだけど生きにくさから隠しちゃったんですね」という方におすすめする確率が非常に高い石です。
スフェーンって、おそらくつけた方は楽になるんじゃないだろうか。
私は人と一緒じゃなくていいんだ。
人と同じなんてつまらない。
個性は際立ってなんぼ。
そんな想いに切り替わったら人生生きやすくなる方にぴったりの石なのです。
今回はグリーンの石、この二つの他にエメラルドを2個仕入れています。
が、エメラルドは大トリで次の記事に、満を侍して登場してもらいたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Atsuko Takano