先日、宝石学の学校の同期とお茶した時のこと。
「とあるお店で宝石を買ったんだけど脇石のメレダイヤの
質が悪くて真ん中の石までくすんで見えたから作り直した」
というお話をしていました。
オーダーを受ける際、「ダイヤを巻きますか?」という質問は
しますが脇石のグレードを確認することはありません。
これはおそらく他のお店でもそうなんじゃないかな。
だから脇石がグレードが低くてもクレームできないのでは
ないかと思います。
けれどこれは非常にイラつく話。
私にしてみたら石に対しての怒りなんですけどね。
せっかく真ん中の石にいい石を選んだのに、脇石が微妙だと全体が
総崩れします。
言うなれば・・・
綾瀬はるかが主役なんだけど他のキャストが全員エキストラだった、みたいな。
脇役ってすっごい大事です。
脇役がいるから主役が輝いたりします。
脇役がダメだと主役の角まで下がる。
って考えると脇石がどれほど大切かお分かりいただけますでしょうか。

メレダイヤにトップグレードを持ってくる・・・これは予算的に
ちょっと厳しい場合があります。
けれど石にも段階があり、ただ同然のクズ石(言い方が良くないけど)も
たくさんあるのが実情。
それを選ぶかどうかはモラルの問題かもしれないし、美意識の問題かもしれません。
私は石を仕入れる業者をすごく厳選している、というお話を
前にどこかでしたと思うのですがそれはなぜかというと
その辺りのモラルを感じられない業者は確かに存在するからなのです。
例えば50万円のパッケージでリングを作るとする。
絶対に削れないのは地金。
あとどこ削る?と言ったら脇石ですね。
けれど侮るなかれの脇石をケチると仕上がりに格段の差が生まれます。
数万円をけちって顧客満足度を下げるやり方は、長い目で見ると
いいことってないと思うのですが、それは企業理念にも関わってくる
話ですから。
そしてこれに関しては残念ながらグレードの低い脇石を使ったところで
契約違反ではない。
だからやはりモラルと美意識の問題だと思います。
そのリングは、別のところでいいダイヤモンドに入れ替えてもらったら
別物になって美しく仕上がってきた、という結末です。
これって宝石に関してだけじゃないですね。
脇に回るもの(定義だけで角度からいったらそれは主役にもなりうる)
を侮るなかれ。